ある朝、目を覚ました時、これはもうぐずぐずしていられない、と思ってしまったのだ。
私はインドのデリーにいて、これから南下してゴアに行こうか、北上してカシミールに向かおうか迷っていた。
ゴアにはヒッピーたちの楽園があると聞かされていた。それがどのような種類の楽園なのかは定かでなかったが、少なくとも、輝くばかりのゴアの海沿いの土地では、デリーやカルカッタの何分の一かの金で楽に暮らすことができるという話に嘘はないようだった。
一方、カシミールはインドの高級避暑地でもあり、ゴアのような安上がりの生活は期待できないが、なによりも、雪を頂いたヒマラヤの高峰群を間近に望むことができるというだけで心ひかれるところのある土地だった。
<黄金のゴアにしようか、それとも白いカシミールにしようか・・・・・>
私は迷いながら、しかしいつまでもその迷いを宙吊りにしたままデリーにとどまり、その日その日を無為に過ごしていた。
(「深夜特急」始まりの部分より)
ご無沙汰しています。日本に戻り2ヶ月以上が経ちました。
このブログも一度区切りを打ちましたが、ポルトガルからスペインのマドリードに折り返すまでの旅の終盤を少し書いていこうと思います。
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